不倫がバレても開き直って止めない

不倫相手との問題

慰謝料請求

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今回もよくあるケースではあるのですが,妻(又は夫)に不倫がバレても,開き直ってその不倫関係を止めず,継続するというようなケースがありますが,こんな場合,請求される慰謝料の金額が変わるかどうかという点をお話ししようと思います。

 

不貞行為が発覚した後も不貞行為を継続している場合

 

 自分の夫(又は妻)が不倫をしていて,それが判明し,自分から夫(又は妻)や不倫相手に対して,「不倫を止めろ」と要求すれば止めるものと思われがちですが,意外と開き直って,その不倫関係を継続する人たちもいます。

 このように開き直って不倫関係を継続する自らの夫又は妻あるいは不倫相手に対して慰謝料請求をする場合,その慰謝料は通常のものよりも増額されることになります。その態様の悪質性から,当然の結論でしょう。

 

具体例① 不貞行為を止めるよう要求されたのに不貞行為を継続している場合

 

 不倫関係に気づき,「関係を終了し,二度と接触しないように」と求めることはよくあるケースであり,私も内容証明郵便等でこうした点を求めることはよく行っておりますが,こうした忠告を無視して不貞行為を継続している場合には,そうした事情は慰謝料の増額要素となります。

 こうした点を考慮した裁判例としては,東京地判平成19年2月21日があります。この裁判例は「被告は,A(配偶者)に原告という夫がいることを知りながら,Aを繰り返し誘って頻繁に密会するなどの交際を続け,肉体関係を持つに至ったのであり,その間,それに気付いた原告から何度も,Aと別れるよう申入れがあったにもかかわらず,被告は,自分からは別れる気がないことを告げ,Aに対して自己を選ぶよう積極的に求め続けたものであって,これにより,原告とAとの夫婦関係は悪化し,原告は食欲不振,睡眠不足等に陥り,精神的,肉体的に疲労した結果,離婚を決意するに至ったものである。……被告は,自らの行為が許されないことを十分に理解しており,原告からも繰り返しAとの交際を止めるよう注意をされていながら,それを全く意に介することなく,なおもAを誘惑して交際を続け,自己を選択するよう求めていたものであって,その行為態様は悪質といわざるを得ない。」

と述べ,慰謝料の増額要素として考慮しております。

 その他,同種の裁判例として,東京地判平成19年4月5日,東京地判平成22年4月27日,東京地判平成26年5月19日があります。

 

具体例② 提訴された後も不貞行為を継続している場合

 

原告が,不貞相手に対して慰謝料を請求するため訴訟を提起した後も不貞行為を継続しているという場合もありますが,このような事情も慰謝料の増額要素となります。

 この点を考慮している裁判例としては,東京地判平成21年7月23日(「被告は,本件訴状の送達後,Aとの交際を絶った旨主張するところ,現実には,Aとの関係を継続している」),東京地判平成22年5月13日(「交際を解消して自宅に帰った同人方に赴き,不貞行為を再開させ,本件訴訟が提起された後も継続していることからすると,被告の行為は,欲望の赴くまま結果を顧みずにした身勝手な振る舞いであったといわざるを得ず,Aが勤務先の上司であることを考慮しても,強い非難に値する。」),東京地判平成26年7月11日(「被告が,高額な慰謝料の支払を承知の上で,本件訴訟継続中にも不貞行為を継続していること」)等が挙げられます。

 

具体例③ 約束を破って不貞行為を継続している場合

 

不貞行為が発覚した段階で,不貞相手などに対して,「もう関係を解消します」「二度と会いません」などと約束をさせるケースもあります。こうした約束に違反して,不貞行為を継続する場合には,このような事情も慰謝料の増額要素となります。

 この点を考慮している裁判例としては,仙台地判平成13年3月22日(「被告は、原告からAとの不貞関係を責められるようになって、Aとの関係を終わりにする旨の念書を…書いたが、…それを翻してAとの交際を継続したいという態度に変わり、Aとの不貞関係を続けた。」),東京地判22年11月30日(「原告とAの婚姻関係がほぼ破綻した状態となっている主たる原因は,被告とAの不貞関係にあること,また,被告は,一旦は話し合い等により,Aとの不貞関係を終了させたにもかかわらず,平成18年4月10日から不貞関係を再開し,現在もこれを継続していることからすると,被告の責任は重いといわざるを得ない。」),東京地判平成22年12月22日(「被告は,Aと被告とが平成10年春ころから継続的に不貞行為を行っていると原告が主張して慰謝料の支払を求めた前回訴訟において,慰謝料を支払うとともに,原告に対し,不適切な行動をしたことに謝罪の意を表し,さらに,原告やその家族に一切接触しないことを約束しておきながら,漫然と不貞行為を継続したものであって,その違法性の程度は大きなものがある。」)等が挙げられます。

 

まとめ

 

 以上から,不貞行為発覚後に忠告・訴訟提起・約束等があったにもかかわらず,それを意に介せず不貞行為を継続する場合には,慰謝料の増額要素になります。

その態様は極めて悪質ですから,当然のことといえるでしょう。

 

不倫のケースでは,両者の対応の誠実さ,逆に悪質性などが重要な要素になってきます。

ご自分で話し合いをするケース,弁護士をいれるケース等がありますが,慰謝料の増額を求めるのであれば,対応も含めて,経験豊かな弁護士に相談された方がよりご希望に沿う結果になる可能性が高いと考えます。

 

 

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