不倫とは?不倫はなぜ悪い?

不倫・浮気とは?

不貞行為・違法行為

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浮気・不倫のイメージ

近年,離婚率が高まっていて,“結婚した夫婦のうちの3組に1組は離婚している”,といわれています。 その原因は,性格の不一致や,最近よくいわれるモラハラなど,様々あると思いますが,「パートナーの不倫」も,かなりの割合を占めています。 実際,近年,不倫に関する慰謝料請求の裁判が増えているといわれていますし,当事務所への夫婦関係についてのご相談も,その半数以上が不倫に関係するものです。 こうした背景には,そもそも不倫の数自体が昔より増えているということもあると思いますが,以前よりもバレてしまうケースが増えたこともあるでしょう。 後者に関しては,探偵さんが世間的に広く認知されるようになったことや,パートナーのスマホやネット(SNS等)などから不倫の痕跡を見つけやすくなったことなど,その原因はいろいろあると考えられます。 また,最近,芸能人や国会議員の不倫が問題になり,少し前には不倫ドラマも話題になりましたが,社会的にもこのような「不倫問題」が注目されているといえます。 そこで,これから,そうした不倫の法律問題について,定期的にお話していきたいと思います。 今回は,まず,「不倫」とは何かを簡単にご説明したうえで,不倫されたらなぜ慰謝料が発生するの?というテーマについて,お話したいと思います。

そもそも不倫とは?

そもそも「不倫」とは,何を指すのでしょうか。 世間的には,「結婚していながら,他の異性と交際すること」というイメージかと思います。 では,法律上はどのように考えられているのでしょうか。 まず,この「不倫」という言葉は法律用語ではなく,法律上は「不貞」(民法770条1項1号)といわれています。 これは,離婚事由として定められているものですが,この「不貞」の意味は,「婚姻外の異性と肉体関係を結ぶこと」※であると考えられています。 そのため,法律用語として「不貞」(民法770条1項1号)という場合には,通常「肉体関係」がある場合を指します。 なので,自分のパートナーが他の異性と一緒に食事に行っている(デートしている)だけでは,この「不貞」にはならないのです。 ここが世間的なイメージと違う一つの大きなポイントかもしれません。 ※この「不貞」の意義は,離婚原因としての「不貞」の意義です。

不倫をするとどうなるの?

まず,不倫は犯罪ではありません。なので,不倫をしたとしても,逮捕されたり,刑務所にいくこと(刑事罰を受けること)はありません。 ですが,民事上は,

  • ①離婚原因(民法770条1項1号)
  • ②不法行為(民法709条,710条)

になります。 そのため,パートナーが不倫をした場合には,①離婚を求めることができます。これは,裁判上の離婚原因であり(民法第770条第1項第1号),不倫をしたパートナーが「離婚したくない」と言っても,最終的には裁判をして離婚をすることができます。 また,②不法行為になりますので,不倫相手や不倫をした配偶者に対して,損害賠償請求(慰謝料請求)をすることができます。 この②の場合について,以下で少し詳しくみていきましょう。

不倫するとなぜ慰謝料が発生するの?

例えば,AB夫婦のうち,A(夫)が会社の後輩であるXと不倫をしていた場合,B(嫁)は,Xに対して,XとBが不倫をしていたことによって受けた精神的苦痛などの損害の賠償を求めることができます。この精神的苦痛に関する損害(精神的損害)に対する賠償を,特に「慰謝料」と呼んでいます。 そして,Xに対してこうした損害の賠償を求めることができる根拠(Xがこうした損害の賠償義務を負う根拠)は,不法行為(「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う」(民法709条))というものです。 場面は変わりますが,車を追突させて他人の車などを壊した場合,その他人の車という財産(権利・利益)を侵害しているため,不法行為となり,それによって生じた損害(修理費など)を賠償する責任を負うことになります。 では,上の例で,不倫をされたBは,どのような「権利・利益」を侵害されたから,Xに対して損害の賠償請求(慰謝料請求)ができるのでしょうか。

貞操請求権を侵害されたとする考え方

古くから,こうした不倫の場合の慰謝料請求については,Bの貞操請求権が侵害されていると考えられていました。 すなわち,婚姻中の夫婦というのは,それぞれ他方の配偶者に対して貞操義務(他の異性と肉体関係を持たない義務)を負っており,それを互いに求めることができる権利(あるいはそれを期待・信頼する権利)があると考えられていました。 今回の例でいえば,AとBは互いに他の男女と性的関係を持たないことを求めることができる,ということです。 実際,これまでの裁判所の多くもそのような判断をしておりました(大阪地裁昭和15年7月2日等)。 ですが,この見解は,貞操義務に反する行為(すなわち,肉体関係)さえなければ,直ちに不法行為が成立しないことになるため,やや違和感が残ります。

婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利であるとする考え方

近年は,単に貞操請求権ではなく,「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」とする裁判例も数多く見受けられるようになりました。 少し分かりづらいですが,これは,要は,夫婦として(平穏に)生活を共にしていく権利ということです。 最高裁も「X(異性)がA(配偶者)と肉体関係を持つことがBに対する不法行為となるのは,それが原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるから」と述べています(最高裁平成8年3月26日)。 また,下級審ですが,婚姻関係にある配偶者と第三者との関わり合いが不法行為となるか否かは,AのBに対する貞操請求権の保護というより,婚姻共同生活の平和の維持によってもたらされる配偶者の人格的利益を保護するという見地から検討すべきである,と判断しております(東京地判平成17年11月15日)。 なので,基本的には,「肉体関係を結ぶこと」が権利侵害の典型例でありますが,こうした見解を前提にすれば,XがAと肉体関係まで結ばなくても,肉体関係と同等に評価できるような行為があれば,不法行為が成立する余地が出てくるものと考えられます。 すなわち,Bにとっては,こちらの見解の方が,損害賠償請求できる可能性が拡がるといえます。 どこからが「不貞」に当たるのか,その境界線の問題については,その他の難しい問題も含まれてきますので,また別な機会にご説明させていただければと思います。

まとめ

以上のように,不倫が一方の配偶者のどのような権利・利益を侵害しているかについては,近年は,後者の見解(「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」)に依拠した扱いとなっている方が多いのではないかと考えられます。 そして,こちらの見解の方が,肉体関係以外の行為まで侵害行為と捉えることができる,という意味でより柔軟に対応ができるといえるでしょう。 とはいえ,いずれの見解を採ったとしても,婚姻中に一方配偶者(A)と異性(X)が肉体関係を持ったような典型的ケースでは,不法行為となる可能性が極めて高いので,他方配偶者(B)はその一方配偶者(A)やその相手(X)に対して,その不貞行為によって受けた精神的苦痛等の損害の賠償(慰謝料)を請求していくことができます。 ただきちんと請求するためには,必要となってくる事実や証拠などもありますので,今後またご紹介していきたいと思います。 気になる点などございましたら,お気軽にお問い合わせください。

執筆:弁護士 阿部有生也
監修:弁護士 伊倉 吉宣

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